年収800万円でも住宅費が家計を圧迫 マイホームを手放した40代夫婦

「このくらいの年収があれば、住宅ローンを組んでも問題ないだろう」

マイホームを購入するとき、多くの人が最初に気にするのは年収と住宅ローンの返済額ではないでしょうか。

金融機関の審査を通過し、現在の家賃と同じくらいの返済額であれば、「これなら無理なく暮らせる」と考えてしまうのも自然なことです。

ところが、実際に住宅を購入して生活を始めてみると、購入前には見えていなかった支出が次々と発生することがあります。

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住宅ローンを一度も滞納していないのに、家計に余裕がなくなり、最終的に住み慣れた家を売却することになったケースもあります。

なぜ、返済できるはずの住宅ローンが家計を圧迫してしまうのでしょうか。

「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は同じではない

住宅ローンを考える際に注意したいのが、金融機関から借りられる金額と、家庭が長期間にわたって負担できる金額は別だという点です。

例えば、世帯収入が安定していて、住宅ローンの審査にも問題なく通ったとします。

購入直後は夫婦ともに働いており、毎月の収入にも余裕があれば、ローン返済をそれほど大きな負担とは感じないかもしれません。

しかし、住宅購入後も家計は同じ状態のままとは限りません。

子どもの進学、食費や光熱費の変化、車にかかる費用、保険料など、時間が経つにつれて生活費は変わっていきます。

そのため、住宅ローンだけを基準に「払えるかどうか」を判断すると、後になって計算が合わなくなる可能性があります。

ある40代夫婦も、購入当初は大きな問題を感じていませんでした。

夫婦ともに仕事を持ち、世帯年収は約800万円。購入したのは都心部への通勤にも便利な新築マンションでした。

物件価格は約5,000万円で、頭金を入れた後の借入額は約4,500万円。

35年返済、金利1%という条件なら、毎月の住宅ローン返済額はおよそ12万7,000円になります。

購入前には現在の家賃と大きく変わらないように見え、「これなら十分やっていける」と考えていました。

金融機関の審査にも無事に通り、購入時点では特に大きな問題はありませんでした。

しかし、本当の家計負担が見えてきたのは、生活を始めてからでした。

住宅ローン以外にも住まいのお金はかかる

マンションの場合、毎月支払う住宅ローンだけを見ていてはいけません。

管理費や修繕積立金、駐車場を利用する場合はその費用も必要になります。

さらに、毎年の固定資産税もあります。

例えば住宅ローンが月13万円程度だったとしても、管理費や修繕積立金などを加えると、住居関連の支出は大きく膨らみます。

固定資産税を月単位で考えれば、さらに負担は増えます。

つまり、「住宅ローンが月13万円だから、住居費も13万円程度」と考えるのは危険です。

実際には、住宅を所有するために必要な費用をまとめて考える必要があります。

そして、ここから家計の状況が大きく変わっていきました。

子どもが成長すると教育費が増え、食費や日用品などの支出も変化します。

車を所有していれば、燃料代や税金、点検などの維持費も必要です。

保険料や通信費など、住宅とは直接関係しない支出も積み重なります。

一つひとつは大きな金額ではなくても、毎月発生する費用が増えていけば、自由に使えるお金は少なくなっていきます。

返済できているから大丈夫、とは限らない

この夫婦の場合、住宅ローンの支払いそのものが止まったわけではありませんでした。

毎月の返済はきちんと続けていました。

それでも家計には余裕がなくなり、「ローンは払えているのに、生活が苦しい」という状態になってしまったのです。

ここに住宅購入で見落としやすいポイントがあります。

住宅ローンの返済ができていることと、快適な生活を維持できることは別問題です。

毎月の返済を優先するあまり、貯蓄に回すお金が少なくなったり、急な出費に対応しにくくなったりすれば、家計全体の余裕は徐々に失われてしまいます。

特に40代以降は、子どもの進学などによって支出が大きく変化する時期でもあります。

住宅購入時の収入だけで数十年先まで判断するのではなく、将来の生活費まで含めて考えることが重要です。

購入前に確認しておきたい3つのポイント

まず確認したいのは、住宅ローン以外の住居費です。

管理費、修繕積立金、固定資産税、駐車場代などを年間ベースでも計算し、実際に住まいへいくら必要なのかを把握しましょう。

次に、将来的な支出の変化です。

現在は余裕があっても、子どもの進学や車の買い替え、家族のライフスタイルの変化などによって支出が増える可能性があります。

そして最後に重要なのが、購入後にも貯蓄を続けられるかどうかです。

住宅費を支払った後にほとんどお金が残らない計画なら、少しの環境変化でも家計が苦しくなる可能性があります。

「毎月返せる」だけではなく、「返済しながら貯められるか」まで確認しておくことが大切です。

住宅ローンは長期間にわたる契約です。

だからこそ、購入時点の収入や毎月の返済額だけで判断するのではなく、数年後、10年後の家計まで想像しておく必要があります。

マイホームは人生の大きな買い物ですが、購入できる価格と、安心して住み続けられる価格は必ずしも一致しません。

審査に通ったから安心、現在の家賃と同じだから安心、という考えだけで決めるのではなく、住宅ローン以外の費用や将来の支出まで含めて計算することが、後悔しない住宅選びにつながります。

「借りられる金額」ではなく、「生活を守りながら返せる金額」を基準にする。

これこそが、マイホーム購入を考えるときに最後まで忘れてはいけない視点なのです。

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